クレイジーエイト

英語名 Crazy Eights
読み方 クレイジー エイツ
難易度
所要時間 8〜15分
提唱者 Google Ventures(デザインスプリント)
目次

ひとことで言うと
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A4用紙を8分割し、1マスに1分でアイデアをスケッチする超高速発想法。「考えすぎる前に手を動かす」ことで、最初の1〜2個の「安全なアイデア」を超えて、5個目以降の「意外なアイデア」にたどり着ける。Google Venturesのデザインスプリントで定番のエクササイズ。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
タイムボックス
あらかじめ決めた制限時間内に作業を収める手法。クレイジーエイトでは1マス1分が鉄則で、時間制約が発想の質を高める。
スケッチ
アイデアを素早く視覚化する簡易的な絵。棒人間・四角・矢印・文字で十分伝わる。完成度ではなくスピードが命。
ドット投票(Dot Voting)
スケッチを並べてシール投票で良いアイデアを選ぶ手法。声の大きい人に引っ張られず、全員の評価を平等に可視化できる。
サイレントレビュー
スケッチを壁に貼り、口頭説明なしで全員が黙って見て回るステップ。先入観なく純粋にスケッチの伝達力で判断する。

クレイジーエイトの全体像
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準備→8分スケッチ→共有投票→次アクション決定の流れ
準備A4を3回折って8マスを作るお題を明確にし全員に共有する8分スケッチ1マス1分で一気に8個描く5個目以降が意外なアイデア共有・投票サイレントレビュー+ドット投票声の大きい人に流されない仕組み次アクション上位1〜3案をプロトタイプへ組み合わせや発展も検討「考えすぎる前に手を動かす」が意外なアイデアを生む
クレイジーエイトの進め方フロー
1
準備
A4を8分割しお題を共有する
2
8分スケッチ
1マス1分で8アイデアを一気に描く
3
共有・投票
サイレントレビュー+ドット投票で絞る
次アクション決定
上位案をプロトタイプや詳細スケッチへ

こんな悩みに効く
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  • アイデアが1〜2個で止まってしまい、バリエーションが出ない
  • デザインの検討に時間がかかりすぎる
  • チームメンバーが「絵が描けない」と発想に参加しない

基本の使い方
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ステップ1: 紙を8分割し、お題を確認する(1分)

A4用紙を3回折って8つのマスを作る。

  • お題を全員に共有する(例:「ログイン画面をリデザインする」)
  • 「上手に描く必要はない。伝われば棒人間でOK」と強調する
  • 全員にペンと紙が行き渡ったら、タイマーをセットする

ルール: 1マスにつき1分。合計8分で8つのアイデアをスケッチする。

ステップ2: 8分間で一気に描く

タイマーをスタートし、1分ごとにアラームを鳴らして次のマスに移る。

  • 最初の2〜3個は「当たり前」のアイデアが出る → これでOK
  • 4〜5個目あたりで「ネタ切れ」を感じる → ここが本番
  • 6〜8個目に「普通じゃ思いつかない」アイデアが出る

考え込まないことが最大のコツ。手が止まったら何でもいいから描く。

ステップ3: 共有・投票で絞り込む(10〜15分)

全員のスケッチを壁やテーブルに並べて、サイレントレビュー+ドット投票で絞る。

  1. 全員が黙って全スケッチを見て回る(3分)
  2. 良いと思ったアイデアにドットシールを貼る(1人3票)
  3. 票が集まったアイデアについて簡単にディスカッション
  4. 次のステップに進めるアイデアを1〜3個選ぶ

声の大きい人の意見に流されないよう、投票は発言の前に行う

具体例
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例1:フィットネスアプリのホーム画面を4人のチームがリデザインする

お題: 「フィットネスアプリのホーム画面を改善する」

参加者4人 × 8個 = 32個のスケッチ:

  • 今日の目標を大きく表示するデザイン
  • タイムラインで過去7日の運動記録を見せるデザイン
  • ゲーミフィケーション要素(バッジ・レベル)を前面に出すデザイン
  • 友人のアクティビティフィードを表示するデザイン
  • AIコーチがその日のおすすめメニューを提案するデザイン
  • カレンダービューで運動の習慣化を可視化するデザイン

ドット投票の結果:

順位アイデア得票数
1位AIコーチのおすすめ8票
2位カレンダー習慣化ビュー6票
3位ゲーミフィケーション5票

8分間で32個のアイデアが生まれ、投票で3つに絞り込めた。従来の会議なら1時間かけても3個程度しか出なかった。1位と2位を組み合わせた「AIコーチ+カレンダー」案でプロトタイプを作成し、ユーザーテストでは5人中4人が「毎日開きたくなる」と回答した。

例2:BtoB SaaSの請求画面を6人のデザインスプリントで再設計する

お題: 「月次請求書の確認画面を改善する。現状は請求書PDFをダウンロードしないと内容がわからない」

参加者6人 × 8個 = 48個のスケッチ

特に票を集めたアイデア:

  • 請求額のサマリーをダッシュボード形式で表示(9票)
  • 前月比の差分をハイライト表示(7票)
  • コスト最適化のレコメンドを自動表示(6票)

最終決定: ダッシュボード+前月比ハイライトを組み合わせた案を採用。

指標BeforeAfter
請求内容の確認時間平均4.2分平均1.1分
サポートへの請求関連問い合わせ月38件月9件
「わかりやすい」評価23%81%

48個のスケッチから最良の組み合わせを選んだ結果、請求確認時間を74%短縮。8分間の投資で、顧客満足度と業務効率の両方を改善できた。

例3:地域観光協会がWebサイトのトップページを非デザイナー含む5人で発想する

お題: 「観光協会のWebサイトで、訪問者が『行きたい!』と思うトップページにする」

参加者: デザイナー1名、観光協会職員2名、地元飲食店オーナー1名、旅行好きの大学生1名

参加者5人 × 8個 = 40個のスケッチ

意外なことに最も票を集めたのは飲食店オーナーのスケッチ:

  • 「今日のおすすめ体験」を天気・季節・時間帯で自動切り替え(11票)
  • 地元民のリアルな口コミをInstagram風に表示(8票)

非デザイナーのスケッチは棒人間と四角だけだったが、「利用者視点のアイデア」は専門家より鋭かった。

指標BeforeAfter
トップページ滞在時間平均18秒平均52秒
「行きたい」CTAクリック率3.2%11.7%
実際の観光客数(月間)約2,400人約3,100人

「絵が描けない」メンバーこそ、ユーザー視点の新鮮なアイデアを持っている。クレイジーエイトはデザイナー以外の参加を促す最良の手法だった。

やりがちな失敗パターン
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  1. 「絵が下手だから」と参加を渋る人が出る — クレイジーエイトは「アートの品評会」ではない。四角と矢印と文字で十分。最初に「棒人間でOK」と明言し、ファシリテーターが率先して雑なスケッチを見せる
  2. 1マスに時間をかけすぎる — 1分のタイマーを厳守しないと、3個のアイデアを丁寧に描いて終わってしまう。タイマーを鳴らして強制的に次に進むのが重要
  3. お題が広すぎる — 「アプリを改善する」だと何を描けばいいか分からない。「ホーム画面の上半分」「初回起動時の画面」のように具体的に絞る
  4. 投票の前にディスカッションしてしまう — 声の大きい人のアイデアに票が集中する。必ずサイレントレビュー+投票を先に行い、その後にディスカッションする

まとめ
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クレイジーエイトは「8分で8個のスケッチ」というシンプルなルールで、短時間に大量のアイデアを引き出す手法。「考えすぎ」を物理的に防ぎ、5個目以降の意外なアイデアにたどり着けるのが最大の強み。デザインスプリントやワークショップの定番エクササイズとして、デザイナーに限らずチーム全員が手を動かして参加できる発想の場を作れる。