カードソーティング

英語名 Card Sorting
読み方 カード ソーティング
難易度
所要時間 1〜3時間(準備含む)
提唱者 UXリサーチの定番手法
目次

ひとことで言うと
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コンテンツや機能をカードに書き出し、ユーザーに自由に分類してもらうことで、ユーザーの自然な思考モデルに合った情報構造を発見するリサーチ手法。設計者の思い込みではなく、実際のユーザーの分類感覚がわかる。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
オープンソート
カテゴリ名も参加者が自由に決める方式。新規サイトの構造を探る際に有効で、ユーザーの自然な分類感覚を発見できる。
クローズドソート
あらかじめ決めたカテゴリにカードを振り分けてもらう方式。既存カテゴリの妥当性を検証する際に有効。
類似度マトリクス
2つの項目が同じグループに分類された頻度を数値化した表である。結果分析の基本ツール。
デンドログラム(樹形図)
類似度をもとに項目のクラスター(自然なグループ)を階層的に可視化した図を指す。情報構造の決定に使う。

カードソーティングの全体像
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カード準備→分類実施→結果分析→構造反映の流れ
カード準備1枚1項目で30〜60枚を用意専門用語は避ける分類実施15〜20人にオープン/クローズドシンクアラウド併用結果分析類似度マトリクスデンドログラム80%以上の一致を基準構造へ反映ナビゲーションカテゴリを再設計迷った項目は複数配置設計者の思い込みではなくユーザーの分類感覚を基準にする
カードソーティングの進め方フロー
1
カード準備
30〜60枚のカードを作成
2
分類実施
15〜20人のユーザーに分類してもらう
3
パターン分析
類似度マトリクスで共通パターンを抽出
構造に反映
ナビゲーション・カテゴリを再設計

こんな悩みに効く
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  • メニュー構造を「自分たちの感覚」で作ったが、ユーザーが迷っている
  • カテゴリ名が社内用語になっていて、ユーザーに伝わらない
  • 新しいサイト構造を検討中だが、どう分類すべきか判断できない

基本の使い方
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カードを準備する

分類したい項目を1枚1項目でカードに書き出す。

  • サイトのページ名、機能名、コンテンツ名など
  • 30〜60枚が適切(少なすぎると浅い結果、多すぎると参加者が疲れる)
  • 専門用語は避け、ユーザーが理解できる言葉で書く

物理カード(付箋やインデックスカード)でもオンラインツール(Optimal Workshop、Miro等)でもOK。

参加者にカードを分類してもらう

2つのタイプから目的に合った方法を選ぶ。

オープンソート: カテゴリ名も参加者が自由に決める。新規サイトの構造を探るときに有効。「この商品たちをグループに分けて、グループに名前をつけてください」

クローズドソート: あらかじめ決めたカテゴリに分類してもらう。既存カテゴリの妥当性を検証するときに有効。「これらの項目を、この5つのカテゴリに振り分けてください」

  • 参加者は15〜20人が理想(パターンが安定する)
  • 分類中に「なぜそこに入れたか」を声に出してもらう(シンクアラウド法)
結果を分析して構造に反映する

複数参加者の分類結果を統合分析する。

  • 類似度マトリクス: 2つの項目が同じグループに入れられた頻度を数値化
  • デンドログラム(樹形図): 類似度をもとに項目のクラスター(自然なグループ)を可視化
  • カテゴリ名の頻出ワード: ユーザーが使ったラベルから、ナビゲーションの名前を決定

80%以上のユーザーが同じグループに分類した項目は、確実に同じカテゴリに入れてよい。意見が割れた項目は複数の場所からアクセスできるようにする。

具体例
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例1:料理レシピサイトのカテゴリを再設計する

状況: 月間PV 200万のレシピサイト。「和食」「洋食」「中華」のカテゴリだが、サイト内検索の利用率が62%と異常に高く、カテゴリナビゲーションが機能していない。

カードソーティング実施:

  • カード40枚(「肉じゃが」「パスタカルボナーラ」「10分チャーハン」「作り置きおかず」等)
  • 参加者18人にオープンソートを実施

結果:

  • 「簡単・時短」グループを80%の参加者が作成
  • 「メイン料理」「副菜」「汁物」のカテゴリ分けが多数
  • 「和食/洋食」での分類は参加者の30%のみ
  • 「子どもが好きなもの」というカテゴリも複数出現

新構造への反映:

  • 第1階層: 「時短レシピ」「メインのおかず」「副菜・サラダ」「スープ・汁物」「お弁当」
  • フィルター機能: ジャンル(和/洋/中)は絞り込みフィルターに格下げ
  • タグ: 「子ども向け」「作り置きOK」をクロスカテゴリとして追加
指標変更前変更後
カテゴリ経由のレシピ到達率23%54%(+135%)
サイト内検索依存率62%31%
直帰率48%29%

ユーザーは「ジャンル」ではなく「シーン」でレシピを探していた。設計者の思い込みとユーザーの実態のギャップが、カードソーティングで鮮明になった。

例2:BtoB SaaSのヘルプセンターの構造を最適化する

状況: 従業員80名のBtoB SaaS企業。ヘルプセンターの記事数が300を超え、「記事を探せない」という問い合わせが月100件。現在のカテゴリは機能名ベース(「レポート機能」「ユーザー管理」等)。

カードソーティング実施:

  • カード50枚(ヘルプ記事のタイトル)
  • 参加者16人(顧客の管理者8人+一般ユーザー8人)にクローズドソートを実施
  • 既存カテゴリ5つ+「その他」の6つに振り分けてもらう

発見:

  • 「その他」に30%のカードが入った → 既存カテゴリが不適切
  • 管理者と一般ユーザーで分類が大きく異なる
  • 「初期設定」「トラブルシューティング」カテゴリを求める声が多数
指標変更前変更後
「記事が見つからない」問い合わせ月100件月28件
ヘルプ記事の自己解決率35%68%
記事到達までの平均クリック数4.2回1.8回

機能名ベースのカテゴリは開発者目線であり、ユーザーは「何をしたいか」で情報を探す。この認識のズレはカードソーティングなしには可視化できなかった。ロールベースのナビゲーションへの刷新で、自己解決率が35%→68%に跳ね上がった。

例3:地方観光サイトの情報構造をユーザー視点で再構築する

状況: 人口5万人の地方自治体の観光サイト。年間20万PVだが「見どころ」「食べる」「泊まる」「アクセス」の4カテゴリでは、観光客の回遊が発生せず、平均ページビューが1.3と低い。

カードソーティング実施:

  • カード35枚(観光スポット、飲食店、宿泊施設、体験プログラム等)
  • 参加者20人(県外からの観光客経験者)にオープンソートをオンラインで実施

発見:

  • 「半日コース」「1日コース」という時間軸での分類が最多(75%)
  • 「家族向け」「カップル向け」という人物軸も多数(60%)
  • 「見どころ」と「食べる」を分けず、エリアでまとめる傾向が強い
指標改善前改善後
平均ページビュー1.33.8
観光コースページのクリック率(なし)42%
宿泊予約ページへの遷移率4%18%

観光客は「何があるか」ではなく「どう過ごすか」で情報を探す。「モデルコース+エリア」構造への転換で平均ページビューが1.3→3.8に向上し、宿泊予約ページへの遷移率も4%→18%に改善した。

やりがちな失敗パターン
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  1. 参加者が少なすぎる — 5人以下ではパターンが見えない。最低15人は集める。オンラインツールなら低コストで人数を増やせる
  2. カードの粒度がバラバラ — 「トップページ」と「お問い合わせフォームの確認画面」が混在すると、分類がブレる。同じ階層レベルの項目に揃える
  3. 結果を鵜呑みにする — カードソーティングは「ユーザーの傾向」を示すもの。ビジネス要件やSEOの観点も加味して最終構造を決める
  4. オープンソートとクローズドソートを混同する — 新規設計にはオープンソート、既存構造の検証にはクローズドソートが適切。目的に合わない方式を選ぶと得られるインサイトが薄くなる

まとめ
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カードソーティングは「ユーザーが自然にどう情報を分類するか」を直接知ることができるリサーチ手法。15〜20人で実施すれば、設計者の思い込みとユーザーの実態のギャップが鮮明に見える。情報アーキテクチャの設計前に必ずやっておきたい、コスパ最強のリサーチ方法。