RFI分析(Recency-Frequency-Impact)

英語名 RFI Analysis (Recency-Frequency-Impact)
読み方 アールエフアイ アナリシス
難易度
所要時間 1〜2時間
提唱者 RFM分析(Recency-Frequency-Monetary)を汎用化した手法
目次

ひとことで言うと
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発生した問題やインシデントを「R(直近性): いつ起きたか」「F(頻度): どれくらい起きているか」「I(影響度): どれだけ深刻か」の3軸でスコアリングし、対応すべき優先順位を客観的に決める分析手法。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
Recency(リーセンシー)
問題が最後に発生した時期の新しさを示す軸のこと。最近発生した問題ほどスコアが高く、対応の緊急性が高い。
Frequency(フリクエンシー)
問題が一定期間内に発生した回数を示す軸を指す。頻繁に発生する問題ほどスコアが高い。
Impact(インパクト)
問題が発生したときの影響の深刻度を示す軸のこと。サービス停止レベルから見栄えの問題まで段階がある。
RFIスコア
R×F×Iの積で算出される総合優先度を表す数値である。最大125点(各5点満点の場合)で、スコアが高い問題から対応する。

RFI分析の全体像
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RFI分析の3軸:直近性×頻度×影響度でスコアリング
R: Recencyいつ起きたか直近ほど高スコア1〜5点F: Frequencyどれくらい起きるか頻発ほど高スコア1〜5点I: Impactどれだけ深刻か重大ほど高スコア1〜5点××RFIスコアR × F × I = 1〜125点60+: 緊急即座に対応30-59: 高今週中に計画10-29: 中次スプリント1-9: 低バックログ
RFI分析の進め方フロー
1
イベント一覧化
問題やインシデントをすべてリストアップ
2
R・F・Iスコア
各軸を1〜5点で評価
3
RFIスコア計算
R×F×Iで総合スコアを算出
優先順位決定
閾値に基づきアクションレベルを設定

こんな悩みに効く
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  • バグや障害が溜まっていて、どれから対応すればいいかわからない
  • 声の大きい人の要望から対応してしまい、本当に重要な問題が後回しになる
  • インシデントの重要度を「高・中・低」と感覚で決めているが、基準が曖昧

基本の使い方
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ステップ1: 分析対象のイベントを一覧化する

評価したいインシデントや問題をすべてリストアップする

  • バグレポート、障害チケット、顧客クレーム、ヒヤリハット など
  • 各イベントに以下の情報を付与する:
    • 最後に発生した日時
    • 過去N期間の発生回数
    • 1回あたりの影響の大きさ

ポイント: 漏れなく一覧化することが重要。記録されていない問題は評価できない。

ステップ2: R・F・Iの各軸にスコアをつける

各イベントに1〜5点のスコアをつける。

R(Recency / 直近性):

スコア基準
5直近1週間以内に発生
4直近1ヶ月以内に発生
3直近3ヶ月以内に発生
2直近6ヶ月以内に発生
16ヶ月以上前に発生

F(Frequency / 頻度):

スコア基準
5毎日発生
4週に数回発生
3月に数回発生
2四半期に数回発生
1年に1回程度

I(Impact / 影響度):

スコア基準
5サービス全体が停止
4主要機能が使えない
3一部機能に支障
2軽微な不具合
1見栄えの問題のみ

ポイント: スコア基準は自社の状況に合わせてカスタマイズする。重要なのは一貫した基準で評価すること。

ステップ3: RFIスコアを計算して優先順位をつける

3つのスコアを掛け合わせてRFIスコアを算出する。

RFIスコア = R × F × I(最大125点、最小1点)

必要に応じて重みづけも可能:

  • 影響度を重視: RFIスコア = R × F × I²
  • 頻度を重視: RFIスコア = R × F² × I

スコアの高い順に対応することで、最もリスクの高い問題から効率的に解決できる

ステップ4: 閾値を設定してアクションを決める

RFIスコアに基づいて対応のアクションレベルを設定する。

RFIスコアアクションレベル対応方針
60以上緊急即座に対応チームをアサイン
30〜59今週中に対応計画を策定
10〜29次のスプリントで対応
10未満バックログに積む

ポイント: 定期的(週次・月次)にRFIスコアを再計算する。新しいインシデントの追加や、状況の変化を反映させる。

具体例
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例1:SaaSプロダクトのバグ対応を最適化する

状況: 従業員60名のSaaS企業。バグチケットが50件溜まっており、エンジニア5名で対応中。「声の大きい顧客の要望順」で対応していた。

RFI分析の結果(上位5件):

バグRFIRFIスコア内容
BUG-042554100ログイン失敗が頻発(直近も発生中)
BUG-03144580データエクスポートでデータ欠損
BUG-04853460ダッシュボードの数値が不正確
BUG-01534336特定ブラウザでレイアウト崩れ
BUG-03722416PDF出力で文字化け

顧客満足度調査のスコアは3ヶ月で**15%**改善。「声の大きい顧客」順ではなく、最も多くのユーザーに影響する問題から解決する――RFI分析がその切り替えを可能にした。

例2:製造業の品質問題を優先順位づけする

状況: 従業員300名の電子部品メーカー。月間の品質不良報告が平均40件あるが、品質管理チーム3名では全件に対応しきれない。

RFI分析の結果:

品質問題RFIRFIスコア
はんだ不良554100
基板の歪み43560
端子の接触不良54360
ラベルの貼り間違い33218
梱包の傷2214

アクション:

  • はんだ不良(RFI=100): 即座にはんだ工程の全数検査を実施。原因は新ロットのフラックスの品質低下と判明
  • 基板の歪み(RFI=60): リフロー炉の温度プロファイルを再調整
  • 端子の接触不良(RFI=60): コネクタ挿入治具の摩耗を確認し交換

スコア60以上の3件に集中した結果、月間不良率は2.8%→0.9%に改善。年間の不良品コストを約4,200万円削減できた。全件を均等に扱っていた頃とは対照的な成果だった。

例3:カスタマーサポートの問い合わせ改善に活用する

状況: 月間問い合わせ1,200件のWebサービス。サポートチーム5名で対応しているが、同じ内容の問い合わせが繰り返し発生。根本対策に手が回っていない。

RFI分析(問い合わせカテゴリ別):

カテゴリRFIRFIスコア月間件数
パスワードリセット方法55250280件
請求書のダウンロード方法54240180件
解約手続きのエラー4356045件
APIの仕様確認3231860件

アクション:

  • 解約手続きエラー(RFI=60): エンジニアチームにエスカレーションし、2週間で修正
  • パスワードリセット(RFI=50): セルフサービスのFAQページとチャットボットを導入
  • 請求書ダウンロード(RFI=40): UIにガイドツアーを追加

月間問い合わせ数は1,200件→740件(38%削減)。サポートチームが根本対策に使える時間は月40時間増えた。「件数は少ないが影響度が高い問題」を最優先にした判断が、この結果をもたらした。

やりがちな失敗パターン
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  1. スコア基準を曖昧にする — 「影響度が高い」の定義が人によって異なると、スコアリングがバラつく。具体的な数値や条件で基準を定義し、チーム内で合意する
  2. 一度スコアリングして放置する — 状況は変わる。先月はスコアが低かったバグが、今月は頻発しているかもしれない。最低でも月1回はスコアを再評価する
  3. RFIスコアだけで機械的に判断する — スコアが低くても、特定の大口顧客に影響する問題は優先すべき場合がある。RFIスコアは判断材料の1つであり、ビジネスコンテキストと合わせて最終判断する
  4. 記録されていない問題を見落とす — RFI分析はリストにある問題しか評価できない。問題を漏れなく記録する仕組み(チケットシステム等)の整備が前提条件

まとめ
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RFI分析は、直近性・頻度・影響度の3軸で問題やインシデントの優先順位を客観的に決定する手法。限られたリソースで最大の効果を出すために、「何から手をつけるべきか」を数値で示せる。まずは今抱えているバグやインシデントのリストにR・F・Iのスコアをつけて、対応順序を見直すところから始めよう。