ひとことで言うと#
**Point(結論)→ Reason(理由)→ Example(具体例)→ Point(結論)**の順番で話すだけで、何を言いたいのかが一発で伝わるようになる構成術。「で、結局何が言いたいの?」と言われがちな人の特効薬。
押さえておきたい用語#
- Point(ポイント)
- PREP法の最初と最後に置く結論・主張を指す。1文で言い切れる明確さが求められる。
- Reason(リーズン)
- 結論を支える理由・根拠である。1〜3つに絞り、それぞれが独立した論拠であることが重要。
- Example(イグザンプル)
- 理由を裏付ける具体例・データ・エピソードのこと。数字や固有名詞を入れると説得力が格段に上がる。
- 結論ファースト
- 話の冒頭に結論を持ってくるコミュニケーションの原則のこと。PREP法の最大の特徴であり、ビジネスの基本。
PREP法の全体像#
こんな悩みに効く#
- 一生懸命説明しているのに「結論は?」と聞き返される
- 話が長くなりがちで、自分でも途中で何を言いたかったかわからなくなる
- メールやチャットの文章がダラダラしてしまい、読んでもらえない
基本の使い方#
最初に結論を1文で言い切る。これが最も重要なステップ。
- 「〜だと考えます」「〜を提案します」「〜すべきです」
- 曖昧な表現は避ける。「〜かもしれません」ではなく「〜です」
- 相手が最初の10秒で「この話は何についてか」を理解できるようにする
例: 「来月のキャンペーンは、SNS広告に予算を集中させるべきだと考えます。」
なぜその結論に至ったのか、理由を1〜3つ挙げる。
- 「理由は3つあります」と先に数を宣言すると、聞き手が構えられる
- データや事実に基づいた理由だと説得力が増す
- 理由同士が重複しないように注意する
例: 「理由は2つあります。1つ目は、前回のSNS広告のROIが他チャネルの3倍だったこと。2つ目は、ターゲット層の20代がSNSを主な情報源にしていることです。」
理由を裏付ける具体的なエピソードやデータを示す。
- 数字があると圧倒的に説得力が増す
- 「たとえば」「実際に」「具体的には」で始める
- 相手がイメージしやすいシーンを描写する
例: 「たとえば、先月テスト的に実施したInstagram広告では、5万円の予算で問い合わせが23件発生しました。同時期のチラシ配布(10万円)では問い合わせは4件でした。」
最後にもう一度結論を繰り返す。最初の結論と同じ内容を、少し表現を変えて締める。
- 「したがって〜」「以上の理由から〜」で締めくくる
- 次のアクションを添えるとさらに効果的
- くどくならないように、簡潔に
例: 「以上の理由から、来月は SNS 広告に予算を集中させることを提案します。具体的な配分案を明日までにお送りします。」
具体例#
状況: 従業員60名のWeb制作会社。プロジェクトマネージャーの佐藤さんが、週次報告書の提出日変更を提案する。
P(結論): 「週次報告書の提出を、金曜日から木曜日に変更したいです。」
R(理由): 「理由は2つあります。1つ目は、金曜日は月末処理と重なることが多く、報告書の質が下がっていること。2つ目は、金曜日に提出されても上司がレビューするのは月曜日になり、フィードバックが遅れることです。」
E(具体例): 「実際、先月は金曜提出の報告書のうち6割に記入漏れがありました。一方、テスト的に木曜提出にしたAチームでは記入漏れがゼロでした。また、木曜なら金曜中にフィードバックをもらえるので、翌週の計画にすぐ反映できます。」
P(結論): 「ですので、来月から週次報告の提出を木曜日に変更することを提案します。」
1分以内で「何を→なぜ→証拠→もう一度何を」が伝わり、上司が即座に判断できる。PREPを使わない場合の「えーと、金曜日の報告って大変じゃないですか、実は…」という話し方とは説得力が桁違い。
状況: BtoB SaaS企業の営業・高橋さんが、既存クライアント(従業員200名の物流会社)にスタンダードプランからプレミアムプランへのアップグレードを提案する。
P: 「御社の場合、プレミアムプランに切り替えることで年間180万円のコスト削減が見込めます。」
R: 「理由は3つあります。1つ目は、プレミアムにはAPI連携が含まれており、現在手作業で行っている在庫データの転記作業(月40時間)が自動化されること。2つ目は、カスタムレポート機能により、現在外注している月次分析(月額15万円)が社内で完結すること。3つ目は、無制限ストレージにより、現在別途契約しているクラウドストレージ(月額3万円)が不要になることです。」
E: 「たとえば、同業の山田運輸さん(従業員180名)はプレミアムに切り替えた結果、在庫管理の工数が月40時間→2時間に削減。年間の外注費と人件費を合わせて210万円の削減を達成されています。」
P: 「以上の理由から、プレミアムプランへの切り替えをお勧めします。差額は月額5万円ですが、削減効果は月額15万円以上です。来週、デモをご用意しますので、ご都合のいい日程を教えてください。」
金額を具体的に提示し、同業事例で裏付けることで、「プレミアムは高い」という心理的障壁を「プレミアムのほうが安い」に転換。PREP法が営業トークの説得力を構造的に高めた。
状況: 人口5万人の市の教育委員会。担当者が市議会でタブレット端末導入予算(2,400万円)の承認を求める。
P: 「市内全小中学校(12校)にタブレット端末を1人1台導入するため、2,400万円の予算を申請いたします。」
R: 「理由は2つあります。1つ目は、文部科学省のGIGAスクール構想で2027年度までに1人1台環境の整備が求められていること。2つ目は、近隣5市のうち4市がすでに導入済みで、本市の児童・生徒だけがデジタル教材を使えない状況が生じていることです。」
E: 「具体的には、隣の田中市では導入後2年で全国学力テストの平均正答率が4.2ポイント向上しました。また、不登校児童がオンライン授業に参加できるようになり、出席率が68%から89%に改善しています。本市の対象児童・生徒数は3,200名で、端末単価7,500円の一括購入を予定しています。」
P: 「以上の理由から、2,400万円のタブレット端末導入予算の承認をお願いいたします。4月に入札、7月導入、9月から授業利用を計画しています。」
国の方針(権威)、近隣比較(焦り)、具体的成果(数字)の3要素をPREP構造に乗せることで、議会での質疑にも動じない論理構成を実現。予算は全会一致で承認された。
やりがちな失敗パターン#
- 結論が曖昧 — 「〜だと思うんですけど、まあ状況によりますが…」と言い切れない。PREP法の効果は「最初の1文で結論を言い切る」ことで生まれる。覚悟を持って断言する
- 具体例が抽象的 — 「みんなそう言っています」「一般的に」は具体例ではない。数字・固有名詞・日付を入れることで説得力が劇的に変わる
- 理由と具体例がごちゃまぜ — ReasonとExampleの区別がつかず、ダラダラと話してしまう。Reasonは「なぜか」、Exampleは「たとえば」と意識して切り分ける
- 結論が最後にしかない — 起承転結で話す癖が抜けず、結論が最後に来る。ビジネスコミュニケーションでは結論ファーストが鉄則
まとめ#
PREP法は「結論→理由→具体例→結論」の4ステップで、誰でも論理的でわかりやすい話し方ができるようになるフレームワーク。特別な訓練は不要で、今日の報告メールからすぐに使える。まず結論を言い切る勇気を持つことが、すべてのスタート。