生きがいモデル

英語名 Ikigai
読み方 イキガイ
難易度
所要時間 60〜90分
提唱者 日本の伝統的概念をマーク・ウィン(Marc Winn)が4円モデルに再構成
テンプレート あり ↓
目次

ひとことで言うと
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**好きなこと(Love)・得意なこと(Good at)・稼げること(Paid for)・世界が必要としていること(Need)**の4つの円が重なる中心点が「生きがい(Ikigai)」であり、充実したキャリアと人生の指針になるフレームワーク。

押さえておきたい用語
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押さえておきたい用語
情熱(Passion)
好きなこと×得意なことが重なる領域のこと。楽しくて上手にできるが、それだけでは収入にならない可能性がある。
専門職(Profession)
得意なこと×稼げることが重なる領域を指す。スキルで収入を得られるが、やりがいや社会的意義を感じにくい場合がある。
天職(Vocation)
稼げること×世界が必要としていることが重なる領域のこと。社会に必要とされ対価を得られるが、個人の情熱が欠けることがある。
使命(Mission)
世界が必要としていること×好きなことが重なる領域のこと。情熱と社会貢献が結びつくが、収入面の不安が残ることがある。
生きがい(Ikigai)
4つの円すべてが交わる中心領域である。1つの仕事で完全に満たす必要はなく、複数の活動の組み合わせで実現してもよい。

生きがいモデルの全体像
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4つの円の重なりからキャリアの軸を見つける
好きなことLove得意なことGood at世界が必要としていることNeed稼げることPaid for情熱Passion専門職Profession天職Vocation使命Mission生きがいIkigai※ 1つの仕事で4つすべてを満たす必要はない。複数の活動の組み合わせも有効
生きがいモデルの活用フロー
1
4つの円を書き出す
各5つ以上、量を重視
2
重なりを見つける
情熱・専門職・天職・使命
3
中心を探る
足りない円を特定する
行動計画
足りない円を埋めるアクション

こんな悩みに効く
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  • 仕事にやりがいを感じられず、何のために働いているかわからない
  • 好きなことはあるが、それで食べていけるか不安
  • 得意なことと本当にやりたいことが一致していない気がする

基本の使い方
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ステップ1: 4つの円をそれぞれ書き出す

以下の4つの問いに対して、思いつく限り書き出す。

  • 好きなこと: 時間を忘れて没頭できること、ワクワクすること
  • 得意なこと: 他の人より上手にできること、褒められること
  • 稼げること: お金をもらえる・もらえそうなスキルや経験
  • 世界が必要としていること: 社会課題、人々が困っていること

ポイント: 最低でも各5つ以上書き出す。最初は質より量を重視する。

ステップ2: 2つの円の重なりを見つける

4つの円の隣接する重なりを整理する。

  • 好き × 得意 = 情熱(Passion)
  • 得意 × 稼げる = 専門職(Profession)
  • 稼げる × 世界が必要 = 天職(Vocation)
  • 世界が必要 × 好き = 使命(Mission)

この4つの中間領域を言語化することで、自分のキャリアの輪郭が見えてくる。

ステップ3: 4つの円すべてが重なる領域を探る

4つすべてが交わる中心が「生きがい」。完全に重なるものがなくても構わない。

  • 今の仕事は4つの円のうちいくつを満たしているか?
  • 足りない円は何か?どうすれば満たせるか?
  • 副業・ボランティア・趣味で補える部分はないか?

ポイント: 1つの仕事で4つすべてを満たす必要はない。複数の活動の組み合わせで「生きがい」を実現するのも有効。

ステップ4: アクションプランを立てる

分析結果をもとに、足りない円を埋めるための具体的なアクションを決める。

  • 3ヶ月以内にできる小さな一歩は何か
  • 半年後に目指す状態はどうなっているか
  • 定期的に4つの円を見直すスケジュールを決める

具体例
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例1:30代のマーケターが「物足りなさ」の正体を突き止める

好きなこと: 人の行動心理を分析すること、文章を書くこと、新しいサービスを試すこと

得意なこと: データ分析(Google Analytics歴8年)、SNS運用、コンテンツ企画

稼げること: Webマーケティング全般、広告運用(年間予算5,000万円を管理)、SEO対策

世界が必要としていること: 中小企業のデジタル化支援、正しい情報発信の仕組みづくり

分析結果:

  • 情熱(好き×得意):行動心理に基づくコンテンツ分析
  • 専門職(得意×稼げる):データドリブンなWebマーケティング
  • 天職(稼げる×必要):中小企業のマーケティングDX支援
  • 使命(必要×好き):信頼できる情報を届ける仕組みづくり
  • 生きがい: 中小企業向けに行動心理×データで成果の出るマーケティング支援を行うこと

アクションプラン:

  1. 副業で中小企業のマーケ支援を月2件開始(月額5万円×2社
  2. 行動経済学の資格取得を目指す
  3. 実績をブログで発信し、パーソナルブランドを育てる

「何か物足りない」の正体は、「世界が必要としていること」への接続不足だった。中小企業支援という軸を1つ加えただけで、同じマーケティングの仕事がまったく違って感じられるようになった。

例2:大企業の管理職が定年後のセカンドキャリアを設計する

対象: 大手電機メーカーの製造部長・高橋さん(55歳)。定年まで5年、その後のキャリアに漠然とした不安。

好きなこと: ものづくり、後進の指導、地元の活性化活動

得意なこと: 品質管理(QC検定1級)、工場のライン設計(30年の経験)、人材育成

稼げること: 製造業コンサルティング、品質管理研修の講師

世界が必要としていること: 中小製造業の品質改善、技術継承の仕組みづくり

分析結果:

  • 4つの円すべてが重なる領域:中小製造業向けの品質管理コンサルティング×技術継承支援
  • 足りないもの:独立するための営業力と顧客ネットワーク

5年間のアクションプラン:

  • 1年目: 地元の中小製造業向け勉強会を月1回開催(無料、人脈づくり)
  • 2年目: 中小企業診断士の資格取得、副業で月2社のコンサル開始
  • 3年目: 年間10社との実績を作り、口コミでの紹介基盤を構築
  • 4-5年目: 独立準備完了、定年後初日から月商50万円でスタート

高橋さんの口癖は「定年後が不安」から「定年が待ち遠しい」に変わった。30年のキャリアが負債ではなく資産だと気づけたことが、最大の収穫だった。

例3:育休明けのワーキングマザーがキャリアの軸を再発見する

対象: IT企業のプロジェクトマネージャー・佐藤さん(34歳)。育休から復帰したが、以前と同じ働き方ができず、キャリアの方向性を見失っている。

好きなこと: チームで何かを作り上げること、教育・子育て、テクノロジー

得意なこと: プロジェクト管理(PMP保持)、ステークホルダー調整、ドキュメンテーション

稼げること: IT系PM(年収650万円)、プロセス改善コンサル

世界が必要としていること: 働く親の支援、教育のデジタル化

気づき:

  • 現在の仕事は「得意×稼げる」は満たしているが、「好き」と「世界が必要」の接続が弱い
  • 育休中に感じた「教育をもっと良くしたい」という想いが新たな円として浮上

アクションプラン:

  1. 社内のEdTech関連プロジェクトに異動希望を出す
  2. 週末に子ども向けプログラミング教室でボランティア(月2回)
  3. 「ITと教育」をテーマにnoteで月4本発信

1年後の変化:

  • EdTech部門への異動が実現、子ども向け学習アプリのPMに就任
  • ボランティアでの経験が製品開発に直接活きている
  • 「キャリアか子育てか」の二択ではなく、「子育ての経験がキャリアを豊かにする」という統合ができた

やりがちな失敗パターン
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  1. 「稼げること」を無視して理想論に走る — 好きで得意で世界に必要でも、収入に繋がらなければ継続できない。まずは副業や小さなプロジェクトで「稼げるか」を検証してから本格的に動く
  2. 4つの完全一致を求めすぎる — 1つの仕事で完璧に4つを満たすケースは稀。本業+副業+趣味の組み合わせで全体として「生きがい」を実現する発想が大切
  3. 一度きりで終わらせる — 人生のステージや環境によって4つの円の中身は変わる。少なくとも年に1回は見直して、今の自分にフィットしているか確認する
  4. 他人の「生きがい」をコピーしようとする — SNSで見かけた理想的なキャリアに憧れて自分の円を歪めてしまう。4つの円は自分だけのものであり、他人と比較するものではない

まとめ
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生きがいモデルは、好きなこと・得意なこと・稼げること・世界が必要としていることの4つの交点からキャリアの軸を見つけるフレームワーク。すべてが完璧に重ならなくても、足りない部分を意識して少しずつ育てていくプロセスが重要。定期的に振り返りながら、自分だけの「生きがい」を形にしていこう。

生きがいモデルのフレームワークテンプレート

このフレームワークを実際に使ってみましょう。